目 次 1. 違 い を 考 察 |
2. 文 献 の 引 用 |
3. 石 原 表 に よ る 分 類
1. 違 い を 考 察
色覚異常は、
■赤色に鈍感な「
第一異常」と、
■緑色に鈍感な「
第二異常」とに区分されています。(医学書、専門書、眼科での検査など)
しかし、色盲(二色型)と色弱(三色型)との分類が曖昧であるのと同様に、第一異常(
■赤異常)、第二異常(
■緑異常)の区分も極めて不明瞭と考えられます。医師より、「第一異常です、第二異常です」と診断されたとしても、現実生活の中では、様々な色彩の中での生活になるわけですので、殆ど、本人自身もピント来ないというのが実際ではないかと思います。
医学的検査では、
小眼科学(58)にも有るように、スペクトルの
■赤色端が暗くなるケースをもって第一異常、そうはならないものを第二異常としている様です。第一異常は、自動車のテールランプの
■赤が暗くて見えないなどの色の誤認が多いことを考えると強度異常の場合が多く、第二異常には、なぜか?スペクトルの
■緑部分が暗くなるという事が無いことからも、弱度異常なのではないかと思えます。
「石原説」から考えると、
■赤と
■緑の感知部は
■黄から
■赤■緑の分化によってできた同一神経の別領域、あるいは別機能(+、−)
のようなものと考えられ、もともと厳密な区分ができない仕組みであると思えます…。また、強度異常には第一異常、弱度異常には第二異常が多い傾向にあるのは、
■赤■緑を感ずる(同一)神経がそのような特性を持っているからと考えるべきではないでしょうか?
2. 文 献 の 引 用
参考までに、第一異常、第二異常を区分した色の見え方の違いをまとめた資料がありましたので、転載させていただきます。
第一異常(赤色盲、赤色弱)と判定された人の色彩感覚 | | 第二異常(緑色盲、緑色弱)と判定された人の色彩感覚 |
・緑の森につつまれた赤鳥居が見えにくい。 | | ・冷や麦の中に入っている緑色の麺が灰色にしか見えなかった。 |
・イチゴ採りに行って、近くのイチゴは採れるのに遠くのイチゴは見えない。 | | ・茶系統の色の布団が緑系統の色にしか見えなかった。 |
・ゴルフ場の芝生の中に飛んだティー(赤)が、どこかわからない。 | | ・古い緑色のタオルを、使い古しの赤茶けたタオルだと思った。 |
・爪の色が白っぽく見える。赤みがかって見えない。 | | ・コンソメスープが緑色に見える。 |
・ボールペンで書いた細い赤線と黒い線とが区別しにくい。 | | ・わかめが黒く見える。 |
須田經宇先生による「石原忍の生涯」にも、第一異常、第二異常、ともに
■赤と
■緑の区別が不完全であることが記述されています。
…
色覚異常者の色覚の本質(第一異常、第二異常の違い)
は、如何なるものであろうか。…
もっとも単純な方法として、太陽スペクトルをどう感じるかを調べると、…
ある波長を境に二種類の色相を区別し、各々の色相の間には、明るさと飽和の差を認める。この境になる波長は無彩に感じるところで、これを中性点という。これが493.5〜497.2ナノメートル(平均495.5ナノメートル)にあるものと、495.0〜506.4ナノメートル(平均500.4ナノメートル)にあるものがあり、前者を第一色盲、後者を第二色盲と区別する。しかし中性点波長は、両者で重なっている部があり、これのみによって厳密に区別することはできない。しかし第一色盲の比較感度曲線は赤端が短縮して、正常と異なる形を持つのに、第二色盲のそれは正常とほとんど異ならないので、両者の差は明らかである。
…
第一色盲と第二色盲はともに■赤と■緑の区別が不完全で、両者とも、ときどき緑の葉と紅葉を見誤り、また果実の熟したものと未熟のものとを間違えることがある。しかし、上気したように、第一色盲と第二色盲は中性点の波長が異なり、また第一色盲ではスペクトルの■赤端が短縮しており比視感度も異なっている。
(p.84〜87)
※第一異常(
■赤異常)であっても第二異常(
■緑異常)の見え方の症状を持っているし、またその逆もある事から、区分する事の意義は、現実的には学術的意義以上のものは無いと思えます…。
現代医学が主張する様に、色覚異常が、不治(見え方の個性)であるとするなら、少しでも自分の見え方の特性を知る上で、区分することに現実的な意味が全くないと否定するものでは有りませんが…。石原先生も、小眼科学の中では、区分されていますし…。
3. 石 原 表 に よ る 分 類
石原表5類(
参照)は、第一異常と第二異常とを分類する表と説明されています。
右図のような、黒地に
■赤で描かれた文字
( 4 )と
■紫で描かれた文字
( 2 )を見せ、どちらが見えやすいか、見えにくいかを被験者に問い、
■赤が見えにくい場合は赤異常(第一異常)、
■紫が見えにくい場合は緑異常(第二異常)としているようです。
石原表ではなぜ、
■紫が見えにくい場合を緑異常(第二異常)とするのか?不思議に思っていましたが、石原先生の
小眼科学(58)に「赤色異常は
■赤色と、その補色なる帯
■青緑とが無色に見え、緑色異常は
■緑色とその補色なる
■紫赤色とが無色に見ゆるに在り。」との説明でその件も何となく納得出来ますが、…
「
石原説」から考えると、
■紫は
■赤と
■青の混色であり、この表は「
■緑がよく見えてないとされる、第二異常を検出するために
■紫文字を使用している」と言うより、「
■赤の彩度の落ちている赤異常(第一異常、強度異常?)の検出を際立たせるために
■紫文字を並べて使用し、どちらを被験者が見やすい色と判断するかによって区分している」と考えた方が納得出来ます。
(赤緑異常者は、
■青か
■黄の混色の方が原色の
■赤や
■緑より生えて見えている。色覚障害者用信号機の
●赤に
■紫で
×印入れるアイディアも、この事を応用したものと考えられます。 (
参照) 「石原先生のご苦労の一端を伺い知る表」と考えます。)
(注)上記の表は参考として掲示したもので、検査用には使えません。 (GIFによるイメージ画像) | ( 石原式色覚検査表見本2 へ ) |
※国際版(コンサイス版)1980の英語解説文には、Strong(強度異常)
■紫文字が見える。 Mild(弱度異常)
■赤文字も何とか見える。 という区分で説明されていました。どちらかと言えば、こちらの解説文の方が現実的と思えます。
※個人的な、意見として、第一異常、第二異常などと区分する事以上に、
■青■黄の見え方と
■赤■緑の見え方に(大きな)アンバランスが有ることを、当事者にもっと説明するべきではないでしょうか?(実際の見え方以上に、旧来からの医学理論に重点を置く、現代医学に疑問を感じます。)
アノマロスコープは、ドイツの
ナーゲル(Willibald Nagel 1870〜1911)が1907年に発明した色盲検査機器です。望遠鏡のような器機の接眼部からのぞくと、視野の下半分に
■黄色光(ナトリウムの単色光 589ナノメートル)が、上半分には
■赤色光(リチウムの単色光 670ナノメートル)と
■緑色(水銀の単色光 535ナノメートル)とが混色できるようになっています。(最近のものは、光源をLEDにすることで、信頼性を高めたものとなっているようです。)
視野の下半分の
■黄色光を一定にし、上半分の
■赤と
■緑とを混色させ、どの数値で上下が同じ色調、明度に感じられるか(これを「
レーレー(Rayleigh)均等」という。)(
ジョン・レーレー1842〜1919 イギリスの物理学者)によって、色覚異常を「
レーレー比」で分類する仕組みになっています。
精密検査用ではありますが、器機の操作によほど熟練していなくては、正確な判定ができないもののようで、視野が変わると同一被験者で色盲(二色型色覚)が色弱(異常三色型色覚)に変わったり、正常者の均等範囲にもある程度の幅があったりで、人間の感覚を頼りにする弱点は避けられません。器機それぞれのクセがあり、熟練者を必要とし、捜査に時間がかかるため、集団検診に用いられることは、滅多にありません。
※
■緑と
■赤を混色して
■黄色を作り、通常の比率よりも
■赤を多く使う場合は
■赤が弱いから「第一異常」、その逆を「第二異常」としていると思われます。
また、赤緑異常者は、レーレー比が正常者より不安定で(バラツキがあり)、強度異常になると決まったレーレー比がなくなる(
■赤■黄■緑の区別がなくみんな
■黄に見える?)そうです。
「
石原説」から考えると、レーレー比が正常者より、不安定なのは、
■黄として見える視細胞は働いていても、
■赤■緑を見る視細胞が発育不全によってうまく働いてないために
■黄として見える定点が正常者のように定まらないからと思われます。
※現代医学では、「アノマロスコープを石原式検査表ではうまく検出できない第一、第二異常の区分の為に使われる」と説明されてる事が多いですが、「石原説」とアノマロスコープの理論的な構造から考えて、「この器機は、赤緑異常をレーレー比の不安定さ(バラツキ)をもって、異常の度合い(強、中、弱度異常等)を調べることが本来の(一次の)目的ではないでしょうか?」 (尚、個人的に、この器機による検査経験は、一切ありません。)